タイ民族楽器ピン定番フレーズ(その1)
定番フレーズを弾こう
前回はオープニング独奏を弾きましたね。
前回は長かったので今回は短いですが、重要度は高いです。
ピンを弾く上では外せないイントロフレーズなので、今回もマストフレーズです。
ラムシンでも使われている定番中の定番なので聴き覚えがあるかもしれません。
定番イントロフレーズを弾こう
まずはおさらい
チューニング(3弦E、2弦A、1弦E)
今回のタイ民族楽器ピン定番フレーズ
前回と違ってリズムもはっきりしているので、覚えやすいですね。
今回のフレーズの鍵もやはりアレンジです。装飾音をガンガン追加していきましょう。
7〜8小節の短いフレーズはピンの中でも万能の超頻出フレーズなので、覚えておきましょう。
アレンジ例を聴く
ลำเพลิน4ภาค เหมาะสำหร้บมือใหม่หัดเล่นลายลำเพลิน ทางเดินของลายพิณ
1:17-1:30部分
曲の頭にイントロとして使っていますね。
2:14-2:20部分
この場合は曲中に織り込んで演奏しています。
意外と曲中にフレーズを挟むのは難しいです。というのは、弾きながらフレーズを思い出さそうとすると頭の中が忙しくて、パニックで中々思い出せません。フレーズをさらっと弾くには体に染み込ませるこれが一番大事です。
ラムシンでの使用例
タイに行けば、流れているインリー・シーヂュムポン(หญิงลี ศรีจุมพล)からです。
そのままイントロとして使われています。
ขาขาวสาวลำซิ่ง - หญิงลี [Official MV]
終わりに
現代のピンの演奏ではラムシン、ルークトゥンのカヴァーが大抵演奏されますが、その逆で、ピンで頻出のフレーズがラムシン、ルークトゥンで使われていましたね。
次回からも、頻出フレーズを紹介していくので、聴き覚えがあるメロディーがあると思います。
ご指摘ありましたらコメント欄までお願いします。
ピンのオープニング独奏を弾こう
タイ伝統楽器ピン必修フレーズ!オープニング独奏を弾く
前回、前々回とピン音楽の構成について解説しました。
YOUTUBEの動画を見て、少し構成が聴き分けられるようになったと思います。
やっぱり楽器は弾かないと面白くないですね。
それでは実際に弾いていきましょう。
1.オープニング独奏部分を聴く
อาจารย์แต๊กบรรเลงพิณลาย 4 ภาค【Esarn-Lampern】
0:00〜0:40部分
上の動画を見ると独奏部分がわかるかと思います。
ピンの中でも全流派共通のマストフレーズ!いきなり少し長いですが習得しましょう。
タイ、イサーンの奥地でもこのフレーズさえ弾けたら、何があっても大丈夫!覚えといて損はなし!!
2.ピンのスケールのおさらい
ピンのスケールのおさらいをしていきます。
詳しくはこちらに記載されています。
今回からこのブログでは五線譜で解説していこうと思います。五線譜での対応表がこんな感じになります。
3.実際に弾いてみよう!
見にくいですが、参考用の譜面と打ち込み音源です。(ピンのチューニングはEAEの順番です。)
基本的にロングトーンはトレモロピッキングで弾いていきます。音符に斜線が引いてあるのがその部分です。
これを基本にアレンジしていきます。
4.アレンジをする
タイの音楽はアレンジ重視です。楽譜のように弾けてもいいですが、好きなように解釈してアレンジしましょう。
アレンジの例です。
THE PARADISE BANGKOK MOLAM INTERNATIONAL BAND LIVE AT WASSERMUSIK FESTIVAL, [HKW] BERLIN 2013
0:20〜1:00部分
ลาย กลองยาวทำนองพ่อทองใส ทับถนน บรรเลงโดย อ.เบียร์ ทับถนน vs อ.ทองใส ทับถนน
0:00-0:20部分
アレンジがどれほど重要かわかりますね。五線譜であらわすとリズム、音価が決められているような気がしますが、弾く時は無視しちゃって構いません。
原型がわかる程度、終わりがバンドメンバーに伝わっていればどう弾いてもいいじゃないですかね。長さも全然違いますね。
アレンジのよくあるパターンは、一部を何度も繰り返す、ハンマリング、プリングで装飾音をつける、違うフレーズとくっつけるとかです。
動画を参考にして個性的なフレーズを弾きましょう。
終わりに
次回からこんな感じで、フレーズを中心に進めていきたいと思います。
タイ語譜面だとリズムがどうしてもわからない部分があるので、五線譜で進めていきます。次回からは短めの予定です。
ピン音楽を構成要素を踏まえて聴く。
実際に構成を聴き分けてみる
前回の投稿で、タイ伝統楽器ピンの音楽の4大構成要素について解説しました。
これを踏まえて実際の演奏を聴いていきたいと思います。
今回はこちらの演奏を解説します。
แต๊ก ลำเพลิน บรรเลงพิณ งานผ้าป่ามือพิณ อ.ลืออำนาจ จ.อำนาจเจริญ
少し地味ですが基本的な演奏スタイル(Lampern)なので取り上げました。
※演奏は1:06から始まります。
構成要素を踏まえて聴く
この演奏を前回の4大要素を踏まえて聴くと下図のようになります。
これを見ながら聞くと「つなぎフレーズ」と、「曲」の切れ目がわかるかと思います。
しかし、この動画以外の演奏を始めて聞いた時、フレーズの切れ目がわかりにくいかと思いますので、再度、「つなぎフレーズ」と、「曲」の聴き分けについて解説します。
つなぎフレーズの特徴
このフレーズは曲と曲をつなぐものなので、一回の演奏で何度も繰り返し聴くことがあります。
この演奏の場合
2:28〜3:07
4:55〜5:26
で、似たフレーズ、同じフレーズが何度も使われていることがわかります。
これを、「つなぎフレーズ」として理解していくと、演奏の構成が徐々に解読されていくかと思います。
「曲」部分の聴き分け
こちらの方が聴き分けやすいです。
最大の特徴は、演奏を通して1回程度しか使用されないという点です。
図で解説した演奏を見ても、「曲」部分は各1回づつしか演奏されていないのがわかるかと思います。
次の特徴は、ロングトーンが多い点です。
ピンは基本トレモロピッキングで音の隙間を埋めていくのですが、曲部分では例外的に曲を表現するためにロングトーンが多用されます。
下の動画の場合、0:57から早弾きが伸びのある「曲」部分になっていることがわかると思います。
終わりに
当ブログでは構成要素「つなぎフレーズ」や「曲」と呼んでいますが、他にタイ語などで、もっと正しい呼び方があるかともいます。内容も他の解釈ができるかもしれません。当ブログの情報は私がタイで教わったものが中心なので、流派によって考え方が違うものがあるかと思います。その際はどうぞご指摘をお願い致します。
ピン音楽の構成要素
ピンで曲を弾くコツ
前回の記事で
ピンのどの音を使うかわかりましたね。
これがわかるだけで、YOUTUBEなんかを見ながら弾ける部分、フレーズはぐっと増えたかと思います。
しかし、ここで壁にぶつかるかと思います。
そうです、「演奏が長くて覚えきれない」という壁です。
長く覚えにくいピンの演奏
例えば
ลำภูไท & ลำเพลิน [Official MV]
この動画は2016年9月27日来日予定のケーン奏者ポンサポーン・ウパニさんのピンの演奏です。長いですね。12分もあります。
อาจารย์แต๊กบรรเลงพิณลาย 4 ภาค【Esarn-Lampern】
私の師匠Tak Lampernさんによるデモ演奏ですがこれも10分もあります。
พิณทิพย์อุดร : พิณซิ่งลืมตาย 2
どなたか存じ上げませんが、この演奏も10分以上もあります。後ろの犬が可愛い。
日本国内ですと誰かに教わることは難しいと思うので、初心者は動画を見てのコピーが中心になると思います。しかしこの10分以上の曲を頭から丸覚えしていくのは非常に困難です。
10分のものを丸々覚えるというのは落語の「寿限無」を丸暗記するのと同じくらいの難易度です。
ピン音楽の構成を理解するには
私もタイに行き、学ぶまでは、上の寿限無を覚える様に頭から一音ずつコピーしていきました。
しかし、タイに行って師匠にピンの音楽の構成を教わり、すぐに10分、20分の曲も理解出来るようになりました。
ピン音楽を構成する要素として重要なものが4つあります。そしてこれをまず頭に入れておく必要があったのです。
4大構成要素
1.オープニングの独奏部分
これはピンの独奏が始まることで、聴衆に今から音楽が始まることを知らせるものです。音楽本編とはリズムも関係ありません。落語の枕のようなものです。
2.曲部分
これは聴衆が盛り上がれるように演奏される、古典的な民謡のフレーズの引用です。長さは1分いかないぐらいです。落語の「寿限無寿限無五劫の擦り切れ…」のような長い決まり文句です。一回の演奏でこの部分は一つの曲を一回から二回程度演奏します。そして一回の演奏で何曲も演奏していきます。熟練した演奏者だと100曲ほどレパートリーがあるそうなので、その分だけ連続で演奏ができます。
3.曲と曲をつなぐ部分
一回の演奏で曲部分は何曲も演奏されます。その間のつなぎとなる部分です。ピンの音域の中を高音域、中音域、低音域と三つに分け、その三箇所を上、中、下と移動するイメージで演奏されます。
この部分はピンの演奏時間の割合の大半を占めます。回数も同じフレーズを何回も多用しますので、この部分だけで、いくらでも時間を稼ぐことができます。エレキギターの早弾きエクササイズのようなものもあります。どの流派もだいたい共通しているので、覚えてしまうと習得は早いです。
4.終わりのアウトロ部分
たいていどの流派もそれぞれ決まったフレーズで終わります。これは一緒に演奏しているメンバーが曲の終わりのタイミングを理解するためです。このフレーズを弾かないと終わることはできません。落語のオチみたいなものです。
この4要素を演奏者は即興的に構成して演奏していきます。
即興のプロセスは下の図のようになります。
わかりにくいかもしれませんが、すいません。
次回へ続く
このようにピンの演奏は最初から最後まで決まっているのではなく
構成要素を使って作られていることがわかりました。
しかし、現時点ではどこが曲なのか、つなぎ部分なのか、フレーズの切れ目はどこかわからないかと思います。
その部分を次回、動画(実際の演奏)を通して解説しようと思います。
ピンの音階
シンプルな音階
タイ民族楽器は非常に合理的で、シンプルです。
タイの音楽のために独自に進化してきた楽器のため、不要なもの(あまり使わない音)を排除しているために西洋楽器に比べると出せる音が少ないです。(半音はピンにおいてはフレットが殆ど省かれています。)
いらないものを排除しているので、聴いているだけだと音のズレ、ミスなどが分かり難い利点があります。(タイ音楽経験者だと違和感はあるようですが。)
ほとんどのタイの楽器に共通する点ですが、あまり使わない音を排除しているために、一つの楽器で主に奏でられるスケールは限られています。ですので、スケールが大きく変わるときには大抵楽器を変えます。
ピンもスケールを変える時はチューニングを変えます。
タイの主な音階表記
ด(C)ド |
ร(D)レ |
ม(E)ミ |
ฟ(F)ファ |
ซ(G)ソ |
ล(A)ラ |
ท(B)シ |
上の表がタイの音階の表記になります。ピンを演奏する上では上の図の文字さえ覚えておけば問題はないかと思われます。
ピンを買うとフレットに音階シールが貼ってある場合があるのでその際に便利です。
これが読めるとタイ式楽譜も読めるので便利です。タイ式譜面についてはgoogleで検索していただければ詳しいサイトが出てきますので、そちらを参考にお願いいたします。
ピンで使われる音
ピンの出せる音は下図のようになっています。
チューニングは一般的な
1弦…E、2弦…A、3弦…E になります。
殆ど全音です。いかにピンがシンプルかお分かりいただけるかと思います。
ピンの特徴としては15のフレット、すべてを使わないという点です。
図を見ていいただいた通りまったく使わない部分がたくさんあります。
3弦は第4フレット以降、2弦第5フレット以降は殆ど使いません。
たまに使う部分といいますのは、楽曲のアクセント、最近のラムシンのカバーをする際に使われます。伝統的な曲ではあまり登場しません。
一つ特別な音は1弦第2フレットのฟ(F*)ファになります。これは便宜上全音のฟ(F)ファと同じ文字が当てられている場合がありますが、ピン唯一の半音(F#)になります。伝統的な曲から最近のものまで頻出のピンの個性が光る音になります。
最後に
私自身ピンを始めてまだまだ未熟なので、情報に間違いがあるかもしれません。
その際はコメントなどでお知らせください。
タイ伝統楽器「ピン」を弾く
「ピン」を弾こう
タイに旅行に出かけられて、お仕事で出張に出かけられて、いろんなものを買うと思います。
もちろん楽器買いますね。
YOUTUBEのおかげで日本でも、タイ楽器の練習ができますね。
タイ語ですがたくさんいい教則動画があるので参考にしましょう。
英語で検索してもなかなかいい動画はないので、YOUTUBEのリンクで教則動画dig!!
参考まで(リンクdigのスタート用)に幾つかリンクを貼っておきます。
YOUTUBE「ピン」教則動画
いきなり弾くのは難しいと思います。この動画のシリーズはピンのチューニングから丁寧に教えてくれます。便利ですね。
古典的なフレーズもタイ語譜面ですがレクチャーしてくれます。
譜面、タイ語は全然読めなくて大丈夫です。先生の手元を見てれば簡単な曲はすぐに弾けるようになります。
ピンといえばトンサイさんですね。タイのCD屋には必ずなんかしらの音源があります。
このビデオのシリーズは古典的スタイルの彼の演奏が見れます。ソロで弾いてるので、コピーにはもってこいですね。(この動画は先のチューニング動画より低い、一弦E、二弦Aになります。)
力強い演奏です。この動画で演奏されているものはトンサイさん特製の二弦のピンで、購入の際は彼の住むウボンラチャタニに行って彼に直接お願いするか、ウボンラチャタニに行くとお弟子さんもたくさんいますので、お弟子さんたちから譲ってもらうしかないです。なかなか特徴的な可動式のフレットで変わった楽器です。
ลำเพลิน4ภาค เหมาะสำหร้บมือใหม่หัดเล่นลายลำเพลิน ทางเดินของลายพิณ
TAK LAMPERNこと、Orose Phamornsutさん。私の先生です。
非常に現代的なスタイルの「ピン」を演奏します。
こちらもある程度弾けるようになると、有効な教則向け動画です。
頻出フレーズてんこ盛りのビックボリュームです。
フレーズ集として使えます。
ピンを引くために
最初の動画のような簡単なやつから少しずつ習得していきましょう。
タイではピンは3ヶ月でマスターできる!!と聞いたこともあるので、ぜひ挑戦してみてください。
楽器の買い方は過去記事より確認できます。
最後に
ピンはエレキギターの6弦22フレットに比べると
3弦15フレットしかないシンプルな楽器です。奥は深いのですが、ギターに比べるとずっと習得は早いです。
私は真剣に幼児教育に最適な楽器だと思っています。
タイに出張に行ったら、お父さんは子供にピンをお土産で買って帰りましょう。
ウボンでも楽器を買おう!
ラオス近くの町ウボンラチャタニ。この町にも少ないですが、楽器屋さんがあります。
週末ナイトマーケットにはモーランのコンサートも開かれるので、それも中々見ものです。
楽器屋さんはウボンホテル付近に集中しています。
地図上、西の楽器屋さん。
品揃えは洋楽器メインなのであまり期待できませんが、価格は割とお手頃です。店員さんも優しく中々良いお店です。割引交渉も、ものによっては対応してもえます。
地図上、南の楽器屋さん
こちらのお店は規模もかなり大きく、ケーン、ピン、パーカッション各種幅広く取り扱っていて、
地元ミュージシャンたちも御用達のお店です。
スタッフも英語が出来るので、コミュニケーションが楽です。しかし、割引交渉は基本受け付けてないので、少し割高かもしれません。
以上ウボン市街地の楽器屋さんです。
ウボンには二件ほどしか楽器屋さんがないので、少し物足りないかもしれません。しかし、どこのお店も個性的なので、一見の価値アリです。
この都市もコンケーンと同様、サウンドシステム屋は楽器屋さん以上あるので、そちらも覗いてみるのもいいですね。