ピン音楽の構成要素
ピンで曲を弾くコツ
前回の記事で
ピンのどの音を使うかわかりましたね。
これがわかるだけで、YOUTUBEなんかを見ながら弾ける部分、フレーズはぐっと増えたかと思います。
しかし、ここで壁にぶつかるかと思います。
そうです、「演奏が長くて覚えきれない」という壁です。
長く覚えにくいピンの演奏
例えば
ลำภูไท & ลำเพลิน [Official MV]
この動画は2016年9月27日来日予定のケーン奏者ポンサポーン・ウパニさんのピンの演奏です。長いですね。12分もあります。
อาจารย์แต๊กบรรเลงพิณลาย 4 ภาค【Esarn-Lampern】
私の師匠Tak Lampernさんによるデモ演奏ですがこれも10分もあります。
พิณทิพย์อุดร : พิณซิ่งลืมตาย 2
どなたか存じ上げませんが、この演奏も10分以上もあります。後ろの犬が可愛い。
日本国内ですと誰かに教わることは難しいと思うので、初心者は動画を見てのコピーが中心になると思います。しかしこの10分以上の曲を頭から丸覚えしていくのは非常に困難です。
10分のものを丸々覚えるというのは落語の「寿限無」を丸暗記するのと同じくらいの難易度です。
ピン音楽の構成を理解するには
私もタイに行き、学ぶまでは、上の寿限無を覚える様に頭から一音ずつコピーしていきました。
しかし、タイに行って師匠にピンの音楽の構成を教わり、すぐに10分、20分の曲も理解出来るようになりました。
ピン音楽を構成する要素として重要なものが4つあります。そしてこれをまず頭に入れておく必要があったのです。
4大構成要素
1.オープニングの独奏部分
これはピンの独奏が始まることで、聴衆に今から音楽が始まることを知らせるものです。音楽本編とはリズムも関係ありません。落語の枕のようなものです。
2.曲部分
これは聴衆が盛り上がれるように演奏される、古典的な民謡のフレーズの引用です。長さは1分いかないぐらいです。落語の「寿限無寿限無五劫の擦り切れ…」のような長い決まり文句です。一回の演奏でこの部分は一つの曲を一回から二回程度演奏します。そして一回の演奏で何曲も演奏していきます。熟練した演奏者だと100曲ほどレパートリーがあるそうなので、その分だけ連続で演奏ができます。
3.曲と曲をつなぐ部分
一回の演奏で曲部分は何曲も演奏されます。その間のつなぎとなる部分です。ピンの音域の中を高音域、中音域、低音域と三つに分け、その三箇所を上、中、下と移動するイメージで演奏されます。
この部分はピンの演奏時間の割合の大半を占めます。回数も同じフレーズを何回も多用しますので、この部分だけで、いくらでも時間を稼ぐことができます。エレキギターの早弾きエクササイズのようなものもあります。どの流派もだいたい共通しているので、覚えてしまうと習得は早いです。
4.終わりのアウトロ部分
たいていどの流派もそれぞれ決まったフレーズで終わります。これは一緒に演奏しているメンバーが曲の終わりのタイミングを理解するためです。このフレーズを弾かないと終わることはできません。落語のオチみたいなものです。
この4要素を演奏者は即興的に構成して演奏していきます。
即興のプロセスは下の図のようになります。
わかりにくいかもしれませんが、すいません。
次回へ続く
このようにピンの演奏は最初から最後まで決まっているのではなく
構成要素を使って作られていることがわかりました。
しかし、現時点ではどこが曲なのか、つなぎ部分なのか、フレーズの切れ目はどこかわからないかと思います。
その部分を次回、動画(実際の演奏)を通して解説しようと思います。